チラ裏

考えるのが好きなヲタクの吐き散らし

神血65話の敷島諒のこと

 

唐突だが敷島諒が好きだ。


敷島諒、しきしまりょう。彼が何者かというと、LINE漫画で毎週水曜に更新されている縦スクロール漫画、「神血の救世主(しんけつのきゅうせいしゅ)」に登場するキャラクターのひとりだ。
尚この漫画の主人公は有明透晴くんという男の子なので敷島諒は主人公というわけではない。


作品の内容としてはカースト下位のいじめられっ子であった主人公がひょんなことから手に入れたチート能力で成り上がってゆく異能力バトルファンジーである。
尚作品内においての「能力」は多種多様な人外キャラクターから認められ与えられるものなので人外とヒトの関わり合い等が好きなヲタクにも刺さるかもしれない。


敷島諒の作品内のポジションはざっくり言うとブレインだ。色付きサングラスに半頭刈り上げのギザ歯、フェイスピアスにパンクファッションというロックな見た目に反し冷静沈着且つクレバー、作中きってのブレインでありその上面倒見も良いオカンポジ、というギャップが読者のハートを掴んでいる、と感じる。

加えこの作品には「黄金級」と呼ばれる強キャラが7人おり、その中のぶっちぎりトップに君臨するのが比良坂蓮爾くんという金髪美形なのだが、敷島諒は彼の親友であり二番目の実力者である。謂わば動ける司令塔だ。自動砲台か何かか?


尚何でもできるが故過重タスクで死にかけている描写も見る。休め。彼はまだ20代前半である。


作中屈指のクレバーさを持ち、統率の才がある彼が好きだ。ただ好きと言えど私がしていることと言えば毎週の購読と共にいいね!ボタンを押しTwitter、もといXで騒ぐことくらいだった。65話を読むまでの話である。

 

この作品は既に二期に入っており、主人公を取り巻く戦いも激化の一途を辿っている。どのくらい規模が大きいかというと世界の命運を賭け、各キャラクターが規格外のクリーチャーたちと日々死闘を繰り広げている状態だ。

血だらけになる事はもちろん半身が吹き飛ぶこともザラで、「人外から能力を授かったキャラは一定条件で破損した肉体も修復が可能」という設定がなければ命が何個あっても足りないだろう。一期にはいなかったチート級のヒーラーも投入され、お前の推しもちぎれるぜ!と言われているような気分になる。


そんなバトル系少年漫画あるあるだとは思うが、強大な敵との戦いを前に主人公たちが励むことと言えば所謂、修行である。それはこの作品も例外なく行われた。作中にはRPGゲームよろしくレベリングの概念があるので、強さがわかりやすく可視化されている。レベルが高くなれば基礎能力が上がり、新たなスキルや必殺技を授かることもできる。

 

巨悪に立ち向かうため、主人公たち一向はレベリングに勤しんでいた。無論、敷島も例外ではない。65話時点で彼のレベルは92である。立場もあるかもしれないがその場にいた誰よりも高い数値だった。正直この時点で眩暈がするほどかっこいい。彼は頭が良いだけではなく努力も怠らないのである。爪の垢が欲しい。  


65話内での敷島の役割は陽動と後援だった。というものの超強力且つ広範囲、その上高速の遠距離攻撃を仕掛けてくる敵と距離を詰め近距離戦に持ち込む必要があったのだ。

敷島の基本能力は簡単に言えば広範囲に銃弾の雨を降らすような遠距離攻撃なので、近距離向きとは言えない。しんがりは主人公一行に任せ、遠距離攻撃や防御を得意とする他メンバーと共に主人公たちを敵の懐に送り込むことが敷島と他メンバーに課せられた役割だった。


とあるメンバーが能力を上手く使い、地を捲り上げるような攻撃をいなす描写は前話で見たので、次の手としてタンク向きのメンバーで要塞を作り、それを起点に敵を牽制し道を作るのだろうと思っていた。無論、彼はその総指揮を執る司令塔として空を舞うのだろう、とも。


人外から能力を授かったキャラは、大概が空中戦に対応できる仕様になっている。敷島は一期でも悠々と宙に浮いていたので、彼が空にいても別に驚くことではない。予想通り敷島は飛んでいた。


誰よりも高い高度で、六枚の黄金の翼を携えて。


大ゴマで披露されたそれは、彼の得た新しいスキルらしかった。スキル名は「熾天統制」と書いて「インペリアルコントロール」と読むらしい。

 

神への愛と情熱で体を燃やす、熾天使を連想させる姿もさることながら脳内で瞬間的に和訳して感情が焼ききれそうになった。皇帝の、帝国の、統制。
統率者の才ある彼が好きだった。作品に、指揮を執るならば彼が一番だよと言われた気持ちになって、気付いたら泣いてた。

その上スキルの内容が、彼が持ちうるすべてのスキルへのバフに加え、本来一つずつしか発動できないはずのそれらの同時使用を可能にするものだった。
どうにかなってしまいそうだった。士気を上げる全体バフでも、仲間を無理に動かすようなものでも、圧倒的な力や知恵でもない。

広い視野とマルチタスク力、知力がなければ到底扱えないだろうスキルの内容に、敷島諒というキャラクターが、作品に、書き手に、彼を見初めたひとならざるものに、どこまでも頭脳明晰な統率者の才がある人間として尊重されているように感じて、涙で前後不覚になった。  

 

架空のキャラに思うことではないかもしれないが、考え続けるということは非常にしんどいことだと思う。少なくとも私は苦手だ。それでも、彼は考える。そりゃ架空のキャラクターであるし、時間を掛けて作られているので日々を生きているわたしたちとはもう分類が違うが、努力次第で圧倒的な力が得られる世界観の中でも、彼はずっと考え続けている。仲間のこと、世界のこと。目の前のこと。1秒の判断ミスで仲間の命が失われるかもしれない極限状態の中、彼はずっとずっと考え続けるどころか更に思考の幅を与えられ、それに喰らいついている。


美しい、と思った。ぶっちゃけ憧れた。彼に力を与えた人外も、彼のそういうところを愛しているのではないかと夢想した。

 

ただ。言ってしまえばこのお話は一番が決まっている。主人公である有明透晴くんだ。
言及しそびれていたがこの作品は分類で言えば俺TUEEEE系である。

きっとこの先も、彼は作中の誰より華のある描かれ方をする。誰もが彼を認め、彼を愛するのだろうし、そうであってほしいとも思う。この世界には様式美という言葉があり、それが守られたお話はとても美しいからだ。それでも。


作中内のキャラクター誰かひとりに王冠を渡せるのなら、わたしは敷島がいい。

 

敷島のセリフで、好きなセリフがある。第26話で彼が比良坂に送った、「後輩に自分の背中を見せてやれよ、最強」というセリフだ。


作中内最強と謳われるキャラに対してのこのセリフがそれほど特別かと聞かれたらそうでもないとは思うが、前述通りこのお話は俺TUEEE系。実力や経験はさておきポテンシャルだけで言えば恐らく比良坂くんより有明くんの方が上である。何なら敷島本人も主人公である彼を「俺達には成し得ぬことを成してくれる可能性、希望」と評している。あまりにも彼は大きい。言ってしまえば比良坂くんは今や、あくまでも「現」最強キャラなのだ。それを、聡明な敷島はきっと一番わかっている、と思う。

 

それでも彼は現最強の親友を「最強」と呼び、送る。きっと、有明透晴が比良坂蓮爾を追い越しても。

 

敷島諒が好きだ。改めて思ったので残しておく。

 

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